李ブログ:配偶者への贈与-特別受益-

「自分が亡くなる前に、これまでお世話になった配偶者や親族たちに何か特別なものを残してあげたい」、「自分が亡くなった後も、妻がこれまでと変わらずに生活していけるように」と思うのが人情。そのため、亡くなる前に、自分が所有する自宅や預金等を配偶者等に贈与することがしばしば見受けられます。

ですが、しばしばこのような贈与は、相続人間において紛争の「種」として撒かれることとなり、それが将来的に「発芽」し、相続人間で紛争が勃発してしまう結果となります。

すなわち・・・

相続人(子どもたち)「お母さんは既に亡くなったお父さんから自宅の贈与を受けているんだから、公平を保つためにも、残された遺産については、その自宅の贈与分も考慮して遺産分割をすべきだ。」

相続人(妻)   「そんな殺生な。この自宅の贈与は、これからも私が不自由なく生活できるようにと、夫が私に贈与してくれたのに!だから、遺産分割で考慮する必要はない!あなたたちは、自分たちのお父さんの意思に背くのかい!!私はあなたたちをそんな人間に育てた覚えはないよ!」

という具合の紛争です。

このような紛争は、日本人の相続でも韓国人の相続でも同様に発生してしまいます。

 

では、韓国法上特別受益はどのように規定されているのでしょうか?

韓国民法1008条は、特別受益者の相続分について、「共同相続人中に被相続人から財産の贈与又は遺贈を受けた者がある場合にその受贈財産が自己の相続分に達しないときには、その不足する部分の限度において相続分がある。」と規定しています。

つまり、簡単にいえば、ある贈与が「特別受益」と認定されれば、上記子どもたちの主張のとおり相続においてその贈与が考慮されてしまいます。

ですが、上記条文上、どのような贈与が「特別受益」に該当するのかについては明確にされていません。

一般的に、生活の基礎となる贈与、婚姻持参金、特別な高等教育費用は特別受益に該当するとされています。他方、扶養のための費用等については特別受益には該当しないとされています。

 

例えば、43年間連れ添ってきた妻に対し亡くなった夫が不動産を贈与したことが特別受益に該当するか否かが争われた事案(大法院2011.12.8.宣告2010ダ66644判決)について、韓国大法院は以下「」内のとおり判示し、審理を原審に差し戻しました。

配偶者への贈与が特別受益に該当するかどうかについて、一つの参考になる判例と思われます。

 

「・・・ここでどのような生前贈与が特別利益に該当するかは、被相続人の生前の資産、収入、生活水準、家庭状況等を参酌して、共同相続人の間の衡平を考慮して、当該生前贈与が将来の相続人になる者に戻されるべき相続財産中のその持分の一部を事前に与えるものと見ることができるかによって決定しなければならず(大法院1998.12. 8.宣告97ム513、520、97ス12判決参照)、生前贈与を受けた相続人が配偶者として一生の間、被相続人の伴侶になって、その者とともに家庭共同体を形成し、これをもとに、お互いに献身し、家族の経済的基盤である財産を取得・維持して子どもたちに対する養育と支援を続けてきた場合、その生前贈与には、上記のような配偶者の寄与や努力に対する補償ないし評価、実質的共有財産の清算、配偶者の余生に対する扶養義務の履行等の意味もともに含まれているとするのが相当であるので、そのような限度内では、上記の生前贈与を特別利益から除外しても、子どもである共同相続人たちとの関係において公平を害するとはいえない。・・・・ 原審判決及び原審が適法に採用した証拠によれば、被告は、被相続人との間に娘である原告らと息子の訴外の者を有し、被相続人の死亡時まで43年4ヶ月余りの婚姻生活を維持してきた事実、原告らが主張する被相続人の被告に対する本件各不動産の贈与は、被相続人の死亡の7年前に行われた事実等を知ることができるが、このような事情を先に見た法理に照らしてみると、被相続人が本件各不動産を被告に生前贈与したのは被告が被相続人の妻として一生涯をともにしながら、財産の形成・維持過程で傾けてきた努力と寄与に対する補償ないし評価、清算、扶養義務の履行等の趣旨が含まれていると見る余地が十分で、これを必ず共同相続人のうちの一人に過ぎない被告の相続分の先給とだけみなすことはできない。」

 

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