「私たちの父(韓国籍者)が2023年10月に亡くなりましたが、相続人は子である私たち3人となります。
そして、私が長男にあたります。
私たち兄弟は昔から仲が悪く、誰が父の遺骨を受け取るか、どこの霊園に納骨するかで意見が対立してしまっております。
そして、現在弟は父の遺骨をA霊園に預けており、将来的にはこのA霊園で納骨する予定とのことです。
韓国法によれば長男である私が父の遺骨の所有者となるはずです。A霊園での納骨には納得できません。父の遺骨を取り戻すことは可能でしょうか?ご教示ください。」
このようなご相談を受けた時、まず思い浮かぶのが「占有移転禁止仮処分命令申立」となります。
どのような手続なのかについて説明いたします。例えば動産の場合、その移動(占有の移転)は通常容易であり、
時間の経過等とともにその動産の所在が不明となってしまう場合がございます。所在不明となってしまいますと、せっかく時間と費用をかけて裁判をし、
勝訴判決を得たとしても、その動産を取り戻すことができないこととなります。
そのようなリスクを無くすために、その動産が移動しないようにする手続が、「占有移転禁止仮処分命令申立」となります。
ご遺骨を対象として「占有移転禁止仮処分命令申立」を行うとなった場合、①申立人が父のご遺骨の所有者であることや、
②仮処分命令申立をせず裁判を提起した場合弟によってご遺骨がどこか別の場所に持ち去られ、ご遺骨が行方不明になってしまう蓋然性が認められることを申立書に記載していくことになります。
なお、ご遺骨を特定する要素としては、その亡くなられた方のお名前、生年月日、死亡日及び戒名等をもって行うことになります。
また、その申立の対象物には、ご遺骨だけではなくご遺骨が納められた骨壺や骨壺袋も含めておいた方がよいと思います。
そして、その申立の相手方(債務者)は実際にご遺骨を預かり直接的に占有しているA霊園運営の法人になると思われます。
最終的には裁判所に担保金を納める必要がありますが、ご遺骨の価値を算定することは困難ですので、概ね10万円程度とされる例が多いようです。
このようにして「占有移転禁止仮処分命令申立」を行いますが、それが裁判所により認められたときは、霊園等によるご遺骨の移動が禁止されることとなります。
ご遺骨が保管された段ボールに、その旨の公示書が貼付されます。)。
それに違反した者には刑事罰が科されることとなります。
そのようにして占有移転が禁止されている間に提訴し、ご遺骨返還のために裁判で主張を展開していくこととなります。